“システム生物学~数式と細胞で生命現象を解明する柚木チームリーダーの挑戦”

ニュース記事
“システム生物学」は生命現象をシステムとして捉え、その理解を深める新たな学問領域です。生物のビッグデータや既存のデータベースを基に細胞内分子のネットワークを解明し、更には生命科学の方法論を刷新すべく挑戦している柚木克之チームリーダーについて、その原動力や探求の経緯について紹介します。

柚木チームリーダーの科学への道は、少なからず子どもの頃からの知的好奇心から始まりました。算数や数学は得意だったものの、初めは覚えることが多い生物学が性に合わないと感じていました。ところが、中学3年生の時に物体の落下が二次関数で表されることを学び、自然法則と数学がつながっていることに気付きました。この経験がきっかけで、科学の中にも自分に合う分野があることを確信し、さらに理学への興味を深めました。

システム生物学は、生命現象を「化学反応から成るシステム」と捉え、その現象を数式で表現する学問で、この観点が柚木チームリーダーにとっての興味の対象です。自然哲学者タイプの科学者である彼は、新たな種を発見し分類する博物学者タイプとは異なり、法則を発見して現象を統一的に説明しようとする科学者です。ニュートンが惑星と地上の物体の運動法則を統一したことに強く感銘を受け、その考え方が年々強まっています。

大学では、肺炎の原因菌であるマイコプラズマの中で起きている化学反応や、ヒトをはじめとする真核生物の呼吸に関わる細胞の一部であるミトコンドリアの代謝を研究しました。そして、それらをコンピュータ上で再現し、視覚化することで、生命現象を理解しようとしました。

まとめると、システム生物学の視点から、生命現象を化学反応のネットワークとして捉える柚木チームリーダーの研究は、細胞内分子のネットワークを解明しようとする新たな生命科学の方法論を形作ります。その根底には子どもの頃からの数学への興味と好奇心があり、そこから科学への道を歩み始め、システム生物学という新たな領域を切り開くきっかけを作り出しました。

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